ひだまり日記

11月号:痴呆症は恥ずかしくない

ある日ひだまりの送迎で、大きな団地に行きました。利用者さんをお迎えしようと車から出た時、その棟のポストを一つづつ確かめているおばあさんがおられました。

「どちらをお探しですか?」と伺うと、「私の家です」と。「何号棟ですか?」「…」「番号は?」「…」「お名前は?」「○○です。私の家どこでしょう?」。大きな団地は確かに迷子になりそうです。同じ建物、同じドア、同じ階段。「○○街区△△棟××号」数字だけが頼りです。番号を忘れてしまったら何を手がかりに探したらいいのでしょう。その時は地域のケアプラザに連絡し、職員さんがすぐに来て下さいました。後をお願いして送迎に戻りました。後から伺ったところ○○さんはその団地にお住まいですが、痴呆がおありでこれまでにも何回か同じようなことがあったそうです。

ひだまり日記に書いたことがあるのですが、さちが丘の立体を歩いておられる痴呆の女性に出会ったことがありました。その方の場合は背中に電話番号と苗字が書いてあったのでご家族に連絡することが出来ました。又あるときは、二俣川の駅前で石川県に帰るという方と交番まで行ったことがありました。

徘徊・・・介護家族にとって心身ともに疲れきってしまう痴呆症状の大問題です。その時のお年よりご本人は70歳・80歳ではありません、30代40代…。自分の家・町並・周りにいるはずの人たちと、今自分がいる状況は全く違うのです。混乱してしまうのも無理はないです。ご本人にとっては重大な目的があるのに周りは分かってくれない不愉快さ。一日に何回も同じ思考回路でそんな思いの中に追い込まれてしまうのです。

やっと外に出られても、道が分からない不安・迷子になってしまう恐怖、帰らなければ・行かなければと思うのに目的地にはたどりつけないのです。まるで神隠しにあったよう、浦島太郎のようです。痴呆の方のそのような恐怖や不安は徘徊に限ったことではないでしょう。不安に波立った心を思いやっていただき、どうぞ怒ったり怒鳴ったりなさらないでください。火に油を注ぐだけです。今の状況から逃げ出すことしか考えられなくなってしまいます。

別に暮らしていらしたお年寄りをお引取りになるような場合、その方の周りに置いてあった使い慣れた品々を出来る限り多くお持ちいただいてください。マンションや団地のように家の外も中も同じようなドア・同じような部屋のつくりの場合は、とても覚えにくく間違えてしまうことになります。みっともないと思わずお年よりのために大きく表札を貼ってください。

部屋にもトイレにもはっきりと「むすこの部屋」「便所」等と書いてください。そして、ご本人がその日にお召しになる衣類の背中に名前と連絡先を書いたものを貼ってください。悪用されないように襟裏につけるというのが一般的ですが、痴呆の方の徘徊かどうかを判断する材料にもなるので私個人としては背中に貼るほうが良いと思います。

そして何より声を大にして申し上げたいことは「痴呆は恥ずかしいことではない!」ということです。ですから、痴呆になったと判断された時、痴呆の方をお引取りになったときは必ずご近所やお店の方々に連絡をなさってください。徘徊を早い地点で見つければご本人にとっての危険を回避しやすいのです。交通事故やお店でのトラブル、これからの季節だと凍死の可能性・暑い時期は脱水の可能性などのリスクが少なくなるはずです。

明日はわが身です。周りの方はどうか温かく見守ってください。間違った噂話や、面倒に巻き込まれたくないという態度は絶対に止めてください。周りのそういう対応が介護家族を苦しめ、隠したり抱え込ませたりしてしまうのです。お互い様です。私たちの行く道です。どうぞ心にとめて置いてください。

またまた生意気を申しましたが、不安やご相談がありましたらご遠慮なくお電話下さい。運転中は携帯電話が使えませんので必ず「非通知設定」を切っておかけください。こちらから必ずお掛けしますから。

(ひだまり日記 2004年11月号掲載分)
by hidamari-blog | 2004-11-28 14:50 | 認知症
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