人気ブログランキング |

ひだまり日記

5月号:リハビリテーション…?

脳血管障害が原因で四肢に麻痺が残ることがあります。脳の左側が病気の原因の場合、首から下の麻痺は右側に、脳の右側が原因の場合は左側に残る可能性があります。

入院中からリハビリテーションが行われます。リハビリテーションというのは一般的には機能の回復を言います。骨折の場合などは治療のため固定し安静にしていた間に、衰えたり固まってしまった筋力・筋肉を鍛え・柔らかくして出来る限り以前の状態に近づけていくことになります。

麻痺が強い場合は「残された機能を出来る限り維持すること・健側(麻痺の無い側)を上手に使い、さらに麻痺側をたすけること」等を練習することになるようです。退院後はリハビリのために通院します。通院が難しい場合は訪問リハビリという方法もあります。患者さんご本人が前向きな場合、意味をきちんと理解されている場合はかなり長期間続けられるようです。

しかし訓練拒否や、指示が理解できない場合は「やめましょう」というケースがかなりあるようです。私が関わったケースでも、脳梗塞が原因で痴呆症状のある方が指示を理解できず、やる気がないとみなされ訓練は中止。家族が必死になって歩行訓練をなさっていた方がおられます。

若年の方の場合は社会生活への復帰が目標になるのですが、ご高齢の方の場合目標を持てない場合があります。心身ともにきつい状況でリハビリをがんばるには、はっきりとした目標や希望が無いと難しいと思います。そういう時、周りの者が手伝えることの一つが「目標や希望を提案すること」だと思います。ご本人が大切に思われていることで、近い将来実現可能なことをご家族が共にうれしそうに話し、応援されることが大切なのではないでしょうか。簡単なことではありませんが何とか楽しみを見つけ、約束を実現して差し上げてください。そして、もう一つ大切なこと・・・。

以前にすんでいた所で「地域リハビリ教室」のボランティアをしたことがあります。そこに奥様が付添われて参加なさるMさんという男性がおられました。Mさんは最初のバイタルチェック(血圧測定等)と体操、最後のお茶のみは参加されるのですが、その他の作業(音楽・お習字・はり絵・ケーキ作り・・)は一切なさらずタバコを吸いに車椅子で庭に出てしまわれます。吸い過ぎると困ると言う奥様の言葉で私はいつもお目付け役として一緒に庭で過ごしました。

その方がおっしゃった一言は私の活動に影響しています。それは「お上手ですねと言われたくない!」という言葉だったのです。発病前、その方は一流企業でバリバリ働いておられました。数回の発作の結果重度の麻痺が残り、得意だった書道も利き手では筆がもてません。リハ教室に参加したある日、Mさんは書道に兆戦なさったそうです。以前の自分の字とは似ても似つかない字・力の入らない字で暗澹たる想いだったそうです。

ところが、それを見たボランティアさんが「まあ!お上手ですね」と誉めたのだそうです。別の時「飲料水の空き容器で作った楽器で合奏」というのをやっていた時、幼児に言うみたいに「あらとてもお上手じゃない?」と言われたのだそうです。「リハ教室をやめたいが、奥様の気晴らしの場所らしいから参加している」とおっしゃるのでした。ボランティアさんがどんな言葉を使えばよかったのかを申し上げるつもりはありません。

Mさんの言葉を知らなければ私も良かれと思って同じ事を言っていたでしょう。ひだまりでは利用者さん方に昼食の準備や後片付け、布巾を縫うこと、大工仕事など手伝っていただきます。そのときに「お上手ですね」などとは絶対に言いません。

いまは痴呆症状があっても、私達よりもずっと長い間家事や仕事をなさってきた方たちです。「ありがとうございました。手伝っていただいて助かりました」というだけです。Mさんの言葉を常に心にとめ、自分が相手の立場だったらどう感じるかを考えて言葉を選ぶようにし、スタッフにもそのように伝えています。

日常の仕事をすることは大切なリハビリです。プライドを傷つけず、やる気をなくさないような言葉かけが周りの者の大切な関わり方だと思っています。

(ひだまり日記 2004年5月号掲載分)
by hidamari-blog | 2004-05-28 14:45 | 高齢者
<< 6月号:送迎ボランティアって必要です 4月号:排泄のこと >>



ほっとひといき、ついてください
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30