ひだまり日記

4月号:排泄のこと

痴呆の方を介護なさるとき、かなり負担になるのが排泄のお世話だと思います。

トイレの場所がわからなくなる(トイレのドアに「便所」と大きく書いておくと良い。電気はつけたままにしておくほうが良い)・便器の中に上手に出来ず、周りがびしょびしょになってしまう・失禁した下着を所かまわず置いたり、汚れた下着をタンスにしまう(失禁したときに怒られた記憶があると隠すことがあります。失禁は本人も傷ついています。)・ギャザーパンツ(紙パンツ)やパットなどをトイレに流してしまう・・などがよくあるケースです。これは、表面に現れる状況です。

それとは別に、排尿排便の感覚が弱くなり、排泄自体が難しくなることもあります。特に排便は『便意=排泄・いきむ』ことが分からなくなる場合があります。そうなると、頑固な便秘になります。

処方される便秘薬でも効果が出ず、浣腸や摘便(指を使って出すこと)をしなければなりません。ところが、介護者には「便秘をしているかどうか」がなかなか分からないものなのです。

とくに、息子さんがお母様のお世話をされている場合やお嫁さんがお舅さんの介護をなさっている場合を想像してみてください。お元気だったときに排泄の状態・状況を聞くことは無いですよね。軽い痴呆かもしれないと思っても、まだまだお互いの立場や恥じらいを考えたら聞けるものではありません。

もし聞けたとしても、痴呆の方が正しい記憶で、間違いなく答えておられるとは限りません。(今トイレに行ったということを忘れているかもしれません)つまり、毎回トイレから出られた後、確認のためにすかさずトイレに入り、痕跡や臭いで排便・排尿の有無を判断するしかないのです。が、ずっと見守っていなければいけないのですから、忙しい方々にとって不可能に近いといえます。

痴呆の方が便秘をすると、かなりの割合で起こる症状があります。イライラしている・話し掛けても心ここにあらずという感じ・いつもは座っていられる方なのに、すぐに立ち上がってしまう・いつもと違う場所をうろつく…などです。そのような時、「トイレに行きましょう」とか「便秘してるでしょう」など直接的なことを言わず、「このかわいいスリッパはいてみて」「新しい椅子を用意したけど座ってみて」…と言うような誘い方でトイレへ誘導しましょう。下着を下ろすことに抵抗するかもしれないですが、介護者が鼻歌を歌ったり、おしゃべりをすることで気持ちをそらして、さりげなくあたりまえのように手早く下ろしましょう。どうしてもダメだったら潔くあきらめ次のチャンスを待ちましょう。

「排便をしたいこととトイレが結びつかなかった」「トイレの場所が分からなかった」ということもあり、とても安心して座られるかもしれません。座ったらまたおしゃべりをしながら、お腹を触ってみてください(必ず温かい手で)。固く張っているようだったら、手のひらをあてて「ゆっくり・大きく『の』の字」を書いてください。腸の流れに沿うように大きくゆっくりとです。ウソのようですが意外と効果があるのです。

また、シャワーつきトイレでしたら「洗浄」(温かいお湯)するのも効果があります。かなり頑固な便秘の場合こぶし大の物が出ることがあります。後が痛む場合がありますので、身体に合う塗り薬などを用意しておくと良いでしょう。こうならないうちに気付いて差し上げられたら良いのですが、もしなってしまったら試してみてください。どうしても出なければお医者様(訪問看護士さん)にご相談になって場合によっては一旦「摘便」していただいたほうが良いでしょう。

排泄はとてもデリケートな問題です。介護職の者は慣れのために、時として「デリケートなこと」を忘れてしまうことがあります。自戒を込め、改めて「自分がされたときにどう感じるか」を必ず考えて対応してください。

(ひだまり日記 2004年4月号掲載分)
by hidamari-blog | 2004-04-28 14:44 | 認知症
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