ひだまり日記

10月号:痴呆症の方が病気や怪我をすると

 痴呆の方が病気や怪我をされるということが想像できますか?あくまでも前提は体力のある痴呆の方です。

 痴呆の方の場合、発熱や体調不良は分かりにくいです。「だるい、つらい」と伝えられないことがあります。少し感覚が鈍くなっているため苦しく感じない場合・伝える適切な言葉が出ない場合などがあるようです。怪我も、出血があれば発見しやすいのですが、骨折や打撲は痛みを感じる力が弱っていたり、きちんと伝えられないために見逃すことがあるのです。早く異常に気づくためにも、ふだんからさりげなくからだにふれるようにしておくとよいですね。ひだまりでも、手をつないだときに熱いと感じ、検温すると発熱していたこと・背中をなでていたときに痛そうになさったことで打撲を見つけたことがあります。いずれも、ご本人の訴えはありませんでした。また、便秘でお腹がはっても苦しい・痛いと言わずイライラ怒りっぽい・うろうろしている・眠らない等ということもあるのです。これも痴呆のために伝えることや、苦しい=排便とならないことが原因です。

 病気や怪我が見つかるとお医者様にいかれますが、痴呆の方の受診は想像以上に大変です。お医者様の白衣には敬意を表して丁寧に返事をなさると思いますが、質問に正確に答えることは非常に難しいです。受診前に「熱があるからお医者様にみていただきましょう」と伝え納得していても、実際に診察を受けるときにはすっかり忘れているでしょう。「なんともありません・痛くありません」と言うような返事をするでしょう。大人ですから治療や注射に激しく抵抗することはあまり聞きませんが、もし受診を拒否している状況で無理にお連れすると「怪しい注射を打たれてしまう」と考えてしまうかもしれません。上手な演技が必要でしょう。

 入院は本当に難しいことを覚悟してください。(「体力のある痴呆の方」の場合です)…手術や、応急処置はとりあえず受けるでしょうが、病室に入ると大変です。「ここはどこ」「なぜ病院にいる」「なぜ家に帰れない」…。何回説明しても忘れてしまいます。前述のとおり、痛みや苦しさの感じ方が鈍くなっているからとも思われますが、包帯が巻かれていようと、点滴のチューブが入っていようと、自分がここにいる必要を認めないでしょう。必要な治療を受けなければと必死で引き止めたり、時には縛ったりもします。これが一層ご本人の恐怖や怒りに拍車をかけてしまうのです。大声で怒鳴る、点滴を抜いてしまう、ベッドの柵を乗り越えてしまう、ナースコールを押しつづけるなどということが起きてきます。

 完全看護の病院でも、家族に24時間の付き添いを要求してきます。家族の状況を話し「不可能だ」と伝えても病院は納得しません。付添いさん(家政婦さんなどは本来廃止ですが)を親戚というふれ込みででも入れるように言われます。不可能なら退院を迫られることもあります。「病院は老人ホームではない」とはっきり言われます。(何回も見てきましたから事実です)。ところが付き添いさんでも対応は難しいようです。必死の状況ですから想像以上の力で抵抗してくるので抑えきれるものではありません。すでに、演技やだましの手法は通じないでしょう。となると安定剤や睡眠剤などを使うしかなくなるようです。そのため、排泄が自立していた方もオムツ使用になることが多いです。入院時の安静状態で足が弱ることはよくありますが、痴呆の方の場合は必ず覚悟が必要でしょう。では、病気や怪我のときどうすればよいのかと言うことになるのですが…。

 予防・悪化させないために早く発見することがまず第一。そして、往診ホームドクターを探しておくことです。すぐに応じてくださる先生は少ないかもしれないですし、それまでのホームドクターとのご縁があって他のお医者様に替わるのは気が引けるということもあるでしょう。でも、無理な入院生活を続けるとご本人はもちろん、多くの人の負担(同室の方、金銭面も含め)になります。在宅で出来る治療は限られますが、退院を迫られる現実があるのでそれしか方法はないと思います。また、いやな話しですが、在宅で最期が訪れた場合、ホームドクターがいらっしゃれば「診断」してくださいます。そうでないと一旦病院にお連れするか、「検死」を受けることになります。

 ご近所の評判をお聞きになったりして、フットワークのよいホームドクターを探しておかれることをお勧めします。

(ひだまり日記 2003年10月号掲載分)
by hidamari-blog | 2003-10-28 14:25 | 認知症
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