ひだまり日記

9月号:夕暮症候群って?

 原稿を書いている今日は残暑の厳しい日です。とはいえ秋、日暮れが早くなっていますね。皆様は夕方・夕暮れにどのような気持ちになられますか?

 私の場合…。若いころは感傷的になったり、やさしい気持ちになりました。主婦になると忙しい時間の始まり・せかされているようになってしまいました。

 痴呆症状の一つ、「夕暮れ症候群」と言う言葉をご存知ですか?

 痴呆の方でこの症状を表す方がかなりの割合で居られます。夕方になると落ち着かなくなる、徘徊を始める、イライラ怒り出すなどの症状です。いつも痴呆のことを書くときに説明しているとおり、今ご本人は数十年前に(子供に返っている方も)戻っておられるのです。今居る所は自分のいるはずのない場所なのです。夕方になりご飯の支度、お風呂の準備などやらなければならないことがたくさんあるのです。子供さんは学生さん、ご主人は会社から帰ってくる、それなのに今居る所は見慣れない家・家庭(リフォーム・新築・引越し、お嫁さん・息子さんが年をとられた等が記憶にない)なのです。つまり、よその家にお邪魔しているわけです。早く自分の家に帰らなければいけないのです。このお宅にもご迷惑をかけてしまうのです。だから、始めは「お邪魔いたしました、長居をしてしまって、もう失礼いたします」とおっしゃるでしょう。でも、「ここはあなたの家ですよ」「何言ってるの」「外に出ないで」などと言われるとそのうちに「…なぜ私を帰そうとしない?帰らせない理由は何?私は誘拐された?人買いにさらわれた?早く逃げないと…」とパニックを起こし始めているのです。窓やドアに鍵かかかっていると、なおのこと恐怖を感じます。

 家族を支えている生活者、介護者の方にとってお年寄り以外の家族が帰ってこられる文字通り忙しい時間。そのときにこのような行動をとられると、何もはかどらずイライラするばかりです。言葉も声もつい荒くなってしまうでしょう。出られては困るから鍵をかけるでしょう。台所に来られては危ないのでお部屋に閉じ込めることもあるでしょう。仕方のない現実です。ただこれが悪循環であることだけは確かです。絶対に成功するとは限りませんが、いくつか方法を書いてみます。

時計を遅らせる…時計を読めることが条件ですが、1時頃にしてしまいます。「今日は雨模様で薄暗いですから、夕方のように思うけどまだ昼過ぎたばかりですよ」という。

旅館のふりをする…完全にここは民宿ですというような扱い方をする。お客様として「ようこそいらっしゃいました。」とお茶やお菓子を出してしまう。(何回もしなければならないので小さいお菓子にして満腹にならないように注意する)

一緒に外に行く…じゃあ、送りましょう。(自分もそこまで買い物があると言わないと、忙しいから結構ですと言われるかもしれない)。歩いていて必ず本人は家が分からなくなるので、とりあえず戻って地図を見ましょうとか、交番にいって聞きましょうと言って家に戻ります。

うそ電話をする…「離れがたいからぜひ今晩は泊まっていってほしい」という。「家族が心配する・お母さんに怒られる」と言うでしょうから「電話で了解を取りましょう」とうそ電話をしましょう。ご本人の耳が遠いようだったら一人演技で大丈夫です。もし、耳がハッキリしているようであれば受話器をご本人に持っていただいて、口が見えないように必要な返事をしましょう。疑われるようだったら、テープを作っておくとか、実際に身内の方やお友達に協力してただくとよいでしょう。ひだまりでは親機と子機で演技したりします。声が違うことがバレそうに思いますが意外と大丈夫です。男性の声か女性の声かだけが問題のようです。

 正直に向かい合いたい、嘘をつくのはいやとおっしゃる方、馬鹿にしていると思う方もおられるでしょう。でも、これは関係をスムーズにするために必要な演技です。気持ちが荒れたり恐がったり憎んだりしては悲しすぎます。痴呆の一つの症状が永久に続くことはないといわれます。体力が落ちる、歩行困難になる、落ち着いたといろいろ変化します。うまく付き合い、かわしていけたら少し気持ちが和らぐのではないでしょうか。

 一人で悩まずぜひご相談ください。

(ひだまり日記 2003年9月号掲載分)
by hidamari-blog | 2003-09-28 14:23 | 認知症
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