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ひだまり日記

7月号:家の中に外の風をいれましょう

 介護が必要になったのかと思われたとき、ご家族は出来る限りご自分達でやっていこうとお考えになることでしょう。これまでの日本の状況ではそうせざるを得なかったでしょう。でも、介護保険がここまで根付いてきたのですからそのような考え方はとりあえず横に置きましょう。

 ひだまりが関わらせていただいたあるケースをお話ししてみます。

 知人からの情報で、「あるおばあちゃんがおじいちゃんとの生活に疲れきっている。頑固なおじいちゃんで外出もしないしお客さんも嫌がる。おばあちゃんは息が詰まると言っているけれど何か良い方法はないか?」ということでした。ひだまりに何が出来るか分からないけれど、とにかくお目にかかりに行きました。とても気さくな奥様で私が伺ったことを喜んでくださいました。状況を一気に話され、涙を流しておられました。何もかも一人で抱え込んでおられる事が良く分かりました。ご主人は今奥におられるとのことで、私は「お目にかかりたい」と申しましたが、「知らない人に会うのを嫌うので」ということでその日はあきらめ、お手伝いを必要とされたときにはすぐにおっしゃってくださいと言って帰ってきました。それからずっと連絡がなかったのですが、知人からは「何かのときに手助けを頼めると思うだけで心強いと言っておられる」と聞いていたのでひとまず安心していました。

 かなり経ってから「床屋さんへの送迎」を依頼してきてくださったので、大喜びで車を走らせました。難しいご主人と聞いていたのですが全くそうではありませんでした。とてもやさしい素敵な方でした。それをきっかけに、奥様のお買い物のお手伝いや、ご主人の通院などに関わらせていただくようになりました。その後奥様の休息のため、ご主人には時々ひだまりに来ていただくことになりました。幸いなことにご主人はとてもひだまりを気に入ってくださり、お迎えを待ってくださるようになりました。その後も長く関わらせていただき、たくさんの楽しい思い出がありますが書いているときりがありませんので省略します。なぜこの話を書いたのかと言いますと…。

 このご主人は足が弱られて外出がままならなくなってから、かなり長い間家にこもっておられました。奥様は用事とはいえ外出をされますし、ご近所の方たちとおしゃべりもなさいます。たまには、趣味の集まりなどにも行かれます。ご主人のイライラや気難しさは結局「嫉妬」なのです。思いのままに動ける人への嫉妬が、奥様を苦しめる原因だったのです。奥様は「こんな気難しい人だったのか・・人が変わってしまった」と思い、このような状態ではとても他人が関われるわけがないと思い込んでしまったのです。

 でも、実際はそうではないのです。外の風が入ることでご主人の狭くなった世界が広がるのです。このかたの場合は外に出ることが出来ましたが、家の中にヘルパーやボランティアが入ることでも、二次元の世界が三次元の世界に変わるのです。必ずしもうまくいくとは限らないでしょうし、私がいつも書いているとおり、関わる人との相性もあります。介護保険だ、ヘルパーだと簡単そうに言っても、実際足を踏み出すには勇気や思い切りが必要でしょう。でも、穏やかに過ごしたいと思っているのに、息が詰まりそうになったり、いがみ合ったりするのはとても悲しいです。思い切って外の風を取り込んで見ませんか?立派に社会生活を送ってこられた高齢の皆様が、人との関わりが全く出来ないとは思えないのです。苦しんでおられるのはあなただけではありませんし、一歩踏み出すことで少しでも荷物を軽くすることが出来た方がたくさん居られるのです。どうぞ、勇気を出してください。大好きだった方のやさしい笑顔をもう一度見ることが出来るかもしれないのですから。ひだまりも少しだけお手伝いできるかもしれません、勇気を出すお手伝いが…。いつでもご相談ください。

 今回もありがとうございました。

(ひだまり日記 2003年7月号掲載分)
by hidamari-blog | 2003-07-28 14:21 | 福祉サービス
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