ひだまり日記

6月号:水分を摂ること

 今回は水分についてお話します。

 前々回、徘徊の方に水分を差し上げていただきたいと書きました。必死になって徘徊なさる方(目指す場所に向かってまっしぐらに歩いておられます)、ご自身は喉の渇きを感じておられないことがあるようです。「喉が渇いたこと」と「飲みたいこと」が一致しないのかもしれないですが。水分は確実に失われていますので何か飲ませてあげてください。スポーツドリンクが一番良いのですが…。

 一般的にご高齢になられると水分摂取量が少なくなるようです。病気の関係で水分制限を受けておられる方は別として、一日に1500cc前後は摂っていただきたいです。夜お休みになる前にも、出来れば水分を摂ってください。トイレのことがご心配かもしれないですが、睡眠中の発汗等で水分が失われ血液が濃くなり、梗塞の原因になることもあります。

 介護をなさっていらっしゃる方はこれからの時期、特に注意して差し上げてください。唇がカサカサしているときは、水分補給が必要です。また、舌の表面が黒っぽく(黒飴をなめたあとのように)なっているのも水分不足・唾液の分泌不足です。飲み物を飲むことのほかに唾液の分泌を促すために、梅干を目の前に置いたり、身体に差し障りがなければ口に含んでいただくといいです(飴でも良い)。その他の方法として、咽と顎の境目あたりを軽く押すと唾液がジワーっと出てきます。そっと押すだけで大丈夫ですからこの方法で口の中を湿った状態にしてください。食事が摂りやすくなりますし、お話しもしやすくなります。ぜひ試してみてください。

 飲み込みが悪くなった方が普通に水分を飲むとむせる事があります。苦しいので水分を摂りたくないとおっしゃるかもしれません。こういうときは、ゼリーにすると飲み込みやすい場合があります。緑茶・水・ポカリスエットなど何でもかまいませんのでゼリーにします。特に暑いとき、冷やしたゼリーは気持ちよいので召し上がってくださると思います。ただし、ゼラチンはカロリーがありますので、寒天(固いと危険な場合があるので柔らかめに)や市販のトロミ剤を使うのも良いです。

 いずれの場合も、飲むとき・食べるときは完全に目が覚めている状態、身体は出来れば起こした状態にしてください。高齢になると食道と気管を開き分ける弁の動きが悪くなるために嚥下(のみこみ)がスムーズに行かないのです。まして、半分眠っているような状態だと神経も半分眠っているので危険なのはお分かりでしょう。また、一度試してみるとお分かりになると思いますが、ベッドを斜め(リクライニング)にした状態で飲んだり食べたりするのは苦しいですし危険です。出来るだけ普通の姿勢に近づけてください。意外と気づかないものですが、私達はかなり前傾姿勢で飲食しているのです。こぼさないためもあるのでしょうが、食道に無理なく入る飲み込みやすい姿勢なのです。

 「吸い飲み」が難しいことはご存知ですか?自分で持って、自分のペースで飲めればそれほど難しくはないのですが、介助されるととても飲みづらいものなのです。飲み込む準備が出来ていない咽に多目の量が流れ込んだりするからです。誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は水分でも起きますから、お使いになるときは十分に気をつけて少量づつ差し上げてください。

 たかが「水」のことと思わないで下さい。ご自身のことをうまく訴えられない方、渇きを感じない方など、様々な状態があります。命に直結します。お医者様にも一日どのくらいの量がその方に必要なのか・どういう摂取方法が良いのかなどをきちんとご相談なさって「脱水症状」にならないよう十分お気をつけ下さい。

 過ごしづらい梅雨・そして暑い夏が来ます。どうぞ御自愛ください。

(ひだまり日記 2003年6月号掲載分)
by hidamari-blog | 2003-06-28 14:20 | 高齢者
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