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ひだまり日記

耳が遠くなる…目が見えにくくなる…

耳が遠くなること、目が見えにくくなること。年をとってくればあたりまえの事です。ところが、このあたりまえのことはご本人と介護家族を苦しめます。

"耳が聞こえない"・・家族が目の前にいるのに、音を消したテレビのように口がパクパク動いているだけ、家族の声を知っているのに自分の耳にはその聞きなれた音が無いのです

近くなら何とか聞き取れるけれど、離れると聞こえないのです。家族もつらいです。「大声を出さないと聞こえない・忙しくてもそばに行って耳元で話さなければならない・何回も聞き返されるとイライラしてつい声を荒げてしまう・面倒だから話し掛けたくない」。お年寄りは声を荒げられたくないから、聞き返さず適当に返事をしてしまう。結果、失敗をして家族に迷惑をかけ疲れさせてしまう…という悪循環。

“目が見えにくい”・・・慣れた家の中は問題なく動けますから家族もあまり気付きませんが、ほとんど見えていない場合があります。

好きだった針仕事・テレビ・ゲートボール…出来ないことが増えます。「目の不自由な方は他の感覚が研ぎ澄まされる」と思う方が居られますが、高齢で視力が落ちた場合、他の感覚が鋭くなることは難しいです。手探りで行動すること・上手に食事をすることなどは難しいです。

突然話し掛けられても、自分が話し掛けられているのかすらわかりません。音がどこから出ているのか聞き分けること・声だけで誰なのか判るようになることは不可能に近いです。症状が進むと光を感じることも出来なくなります。今が朝なのか夜なのかも判断できませんから、家族の行動やテレビ・ラジオの音で判断することになります。

この様な状況の中でお年よりは苦しみます。家族は忙しく活動しているのに自分には出来ることが無い。自分の殻に閉じこもります。思い出すのは昔のこと、バリバリ頑張っていたこと・自分を必要としていた人たちがいたこと…。

時間は酷なほどたくさんあるのです。何回も繰り返し考えているうちに現実と思い出の区別がつかなくなり、恐怖や不安から逃げているうちに痴呆症状を呈してくることがあります。

耳が聞こえない・目が見えない、いずれも孤立(複数の人の中にいるのに一人ぼっちになってしまうこと)してしまうわけです。人間は孤独には耐えられるけれど孤立には絶えられないのだそうです。お年よりは怯えています。ご家族の忍耐・努力は想像以上に必要ですが、どうか独りぼっちにしないであげてください。

耳が遠い場合は、聞こえのよいほうの耳元でゆっくり話します。ラップの芯などを筒として使う・ジェスチャーを入れる・メモ帳やホワイトボードに書きながら話す・聞き取りにくそうな言葉は別の言葉に置き換える…。「みんなが笑っているとき」は特にさびしく感じるようですから、何が面白いのか話してあげてください。補聴器は専門の店で作りましょう。慣れるまでので忍耐が必要です。

目が見えにくい場合は、慣れた呼び方で呼びかけてから話し始めてください。身体のどこかに触れてあげる・席を替えない・いつも同じ動きで行動できるように家具を移動しない・鮮明な色の器を選ぶ(中が白い茶碗に白飯は見えません)…などを心がけます。どれとどれが自分の食器か分かるようにお盆を使い、領域を作ります。食べ物の説明をするときは色や盛り付け方なども付け加えると一層おいしく召し上がれると思います。恐くて外に出られず運動不足になります。空気の冷たさや花の香りなどで四季の移り変わりや天候などを感じていただきたいですから、短時間でもお散歩に誘ってあげてください。

お世話をすることはたいへんです。そのことをご本人に隠す必要も無理をすることもありません。「お世話は大変だけれど、あなたのことが大切だから大丈夫。」と言えたらどんなに良いでしょう。失敗してもどうぞ温かく見守ってあげてください。いずれ私たちも行く道なのですから

24時間365日、介護の日々を送られている方々に心からの敬意を表します。私たち介護職は応援団です。 何かありましたら、ご遠慮なくご相談下さい。
by hidamari-blog | 2007-10-22 21:26 | 高齢者
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