ひだまり日記

進行した認知症を理解するには…

前回は高齢者初期認知症についてでしたが、今回はもう少し進んだ状態についてお話します。

直近の記憶はほとんどありませんが、昔のことは覚えていらっしゃると思います。何年何月だったか・後・先などは曖昧でも、内容は正しいと思います。「大好きだった時代・周りの人たちに必要とされ輝いていた時代」はご本人の「」そのものです。「ご本人にとっての「今」は介護者の『今』ではない」ということを知っていると認知症の方を少し理解しやすくなります。

目的無しに歩き回ることを「徘徊」と言いますが、認知症の方は「目的」を持っていらっしゃいます。二俣川あたりで必死に歩いているそれらしきお年寄りに「どこに行かれるのですか?」と伺うと「石川県○○町」などとハッキリおっしゃいます。石川県?…ご本人は二俣川を歩いているとは思っていません、目的地「石川県○○町」近くで見覚えのある道を探しているつもりなのです。ご本人が「輝いていた時代「」」に居るのです。

こういう時、無理やり家の中に居ていただこうとしたり、閉じ込めたりなさると混乱は激しくなります。なぜ、混乱するのでしょう?

この方が80歳の女性で、40歳代に石川県で生活していたとしましょう。
「私は40歳、夫は45歳、目の前にいる男性は夫だと言うが年寄りだ。本当は誰?ここは何処?私の家だ!というけど、嘘!(新築・改築した家、息子さんの家などは記憶に無い)怪しい!人さらい?隙を見て逃げよう!」…このようなことを考えていらっしゃるのです。

逃げなければなりませんから必死です。ほとんど歩けないはずなのに、徘徊のときは歩けたり、見事に隙間から出てしまわれたりします。ご本人いわく40代ですから、動けるはずです。ご本人の「」の中、○○町で待っている家族の元へ帰るために必死で徘徊(?)しているのです。ご本人の恐怖は計り知れないものがあります。
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時間の観念が薄くなり、時計はほとんどの場合意味を成さなくなります。夜中に目が覚めると「朝!」です。家中の電気をつけ、家族を起こし、パジャマにネクタイを締めたりするのは「朝」だからです。

見当識障害」といわれるものです。「寝ぼけ」の状態がずっと続いているようなものです。笑い話のようですが、このような症状は家庭生活に大きく影響を及ぼします。

生活者(ご本人以外)のためには睡眠薬・精神安定剤などが必要でしょう。が、薬に頼る前に、できるだけお日様に当たり、体も気も使って適度に疲れることを試してください。


長時間昼寝をするのは良くありません。だからと言って「寝ちゃダメ」と言っても、することが無ければ寝てしまうのは当たり前です。お一人暮らしの間は認知症がなかったのに、こちらに呼び寄せ暮らし始めたら症状が現れるのは「することがなくなる」ためです。一種の廃用症候群です。

役に立たない辛さ・必要とされていない辛さから「必要とされていた時代」の記憶に逃げ込んでいくのです。「手伝っていただくと、かえって後始末が大変だから頼まない」ということがあるでしょう。早い時期に「残存能力を引き出し」、「フォローする方法を知っている」プロ(ホームヘルパー、デイサービスなど)を利用して、適度な緊張と充実感を持っていただけると混乱を少なくすることができると思います。

高齢認知症は「刻々と近づく『死』への恐怖」をやわらげるために神様が下さる最後のプレゼント」と言われます。

でも、日々の生活を営みながら認知症の方を支えることは難しいです。厳しい現実は、ご家族を疲れさせ、結果ご本人のことを「疎ましく憎い」存在にしてしまいます。大好きな方をそう思うのはあまりに悲しいです。迷うことなく福祉サービスをお使い下さい。

認知症は恥ずかしいことではありません誰が悪いのでもありません
行動にはご本人なりの意味があります。厳しい介護生活の中でも、その意味を考えながら「ご本人を『愛しい』と思える」心の余裕を少しでも持っていただきたいと祈りながら「ひだまり」は活動しています。
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by hidamari-blog | 2007-05-27 21:30 | 認知症
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