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ひだまり日記

謝らなければと思い続けていることがあります…

10年近く前、私はホームヘルパーの仕事をしながら、ボランティアとして肢体に障害を持った方の作業所に参加していました。旅行にも何回か同行させていただき、昼間では分からない彼らの日常を知り、ご家族のご苦労が少し分かりました。

夜中の寝返りのためご両親は熟睡できないこと・養護学校を卒業しても作業所への送り迎えをしなければならないこと、などなど。障害を持たない子供を育てることさえ時間に追われ自由を奪われたように思ってしまうのに、その何倍も厳しい状況。

「自分の体調が良くないときはつらい」「親は先に逝かれない」…と異口同音におっしゃいますが、一方「この子がいてくれて本当に良かった」ともおっしゃるのです。あるとき、ある男性のお母様が「自分も年を取って体が思うようにならず、いつまでこの子の世話が出来るのか不安」とおっしゃいました。

私はそのお母様に「いつか、肢体の方々のグループホームを作りたいです」と偉そうに言ってしまったのです。心底そう思ったのですが、お母様は私の薄っぺらな言葉を見抜いていらしたでしょう。「そう考えてくれるだけで嬉しいわ」と答えてくださいました。

その後、私は地域の方たちの「ちょっと手を貸して」の声に応えたいと思い、平成11年、古いアパートの一室で“サンダルばきのボランティア”「地域ケア拠点 グループひだまり」を立ち上げました。アパートの取り壊しをきっかけに平成13年、貸し家に移ってからは、忙しさにまぎれて作業所のボランティアに行かなくなりました。

目の前にいらっしゃるお年寄り・そのご家族、介護現場で見聞きする状況…が次々と私に突きつけてくる新しい課題でいっぱいいっぱいになってしまいました。あの男性とお母様の切実な声を実際に聞かせていただいたにもかかわらず、「今」手を出さなければ!と思うものに飛びついてしまってきたのです。

介護保険が毎年変わり、利用者様方は大変です。同時に事業所も翻弄され続け、ひだまりも細々と持ちこたえていくのがやっとの状況です。私の心の中には、聾者専用入所施設、子供達がホッとできる楽屋、若年認知症の方の働く場、肢体にハンディを持った方のグループホーム、悲しい思いをしている犬猫たちのシェルター…などなど、やりたいことが山ほどあります。が、ちっぽけなNPOに出来ることなどたかが知れています。

何か活動をするには、様々な制約がかかり、納得のいかないズレがあっても行政の施策に乗らなければ継続させることはできません。何とか施策に乗っても、その施策が変更されないわけではありません。ある日突然「この施策は終わり!」「助成金打ち切り!」ということが度々起きるのです。何も分からず、やりたいと思ったことをポンと始められた頃が懐かしいです。

私なりに色々経験してしまったため、必要と分かっていても新しいことへの挑戦に臆病になってしまったのでしょう。「そう考えてくれるだけで嬉しいわ」の声に「偉そうに言ってしまいましたがお約束を守れそうにありません。」と謝らなければと心から思うのです。

「熱い心・冷めた頭」が福祉を仕事とする人間に求められると聞きます。そして、何をするにも必要なのは「人・物・金」だとも言われます。サポートしてくれる仲間達のおかげで何とか現状を歩いているのですが、次々と目の前に突きつけられる現実につぶれそうになり、先へ進めません。

団塊の世代の方々が地域にお帰りになる時代と言われます。長い間の社会生活・組織力・専門知識を持たれた方々でしょう。「ちょっと手を貸して」に応えられる力強い地域づくりに「あふれる力・知識」をお貸しいただけないでしょうか。新しい春・新しい出発のとき、心の隅に「貴方の力を待っているものがあること」を、とどめていただけたら嬉しいです。
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ひだまり荘は三ツ境に向かって中尾商店街を抜けたところにあります。門灯に「ひだまり荘」と書いてあります。今、メンバーさんが植えてくださった花がたくさん咲いています。お散歩の折などにお立ち寄り下さい。
by hidamari-blog | 2007-03-25 22:01 | ボランティア
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