2月号:外を歩く事の重要性
今回は「外を歩くこと」についてです。
ひだまりのデイサービスで唯一決めているプログラムは「散歩」です。雨や雪でないかぎり、かなり寒くても散歩に出ます。周りは坂だらけのおよそ散歩には不向きな場所なのですがスタッフの手がありますので、がんばって歩いていただいています。散歩をする中でたくさんのことが分かってきました。 ひだまりにお出でになり始めたころ、ケアマネジャーさんから「歩けるのも今のうちだと思います」といわれていた方が、2年たった今も普通に歩いておられます。最初のころよりずっと足がしっかりしてきています。記憶することも難しい方なのですが、ひだまりの近くになると道を覚えていて自信を持って先に立って歩かれます。 また、全盲になられた方もスタッフと一緒にお話しながら歩くことで、その日の空模様・季節の移り変わり・花の様子などを知ることが出来るとおっしゃっています。風の冷たさや空気の香りで季節や天気を感じること、木登りをした昔を思い出すと喜んで下さいます。 介護保険の認定を受け、ヘルパーさんが来てくださっていても家事介護なら家事で、身体介護なら清拭や衣類の交換などで時間がなくなってしまうことでしょう。「散歩」という項目がどのくらいのご利用者さんに入っているでしょう?ゆっくりと1時間かけて歩くことはなかなか難しいと思います。 私がヘルパーをしていたころ、「ご本人が散歩をしたいとおっしゃっています」と伝えると上司の答えは「通院介助の項目がないと車椅子で外に出ることはできない、周りが坂だから危険を伴うので散歩はしないように」というものでした。今はどのような対応をしているのか知らないのですが、ご本人やご家族が希望されない限り「散歩はいかがですか?」とは勧められないのではないでしょうか。 定期的な通院やリハビリなどでの外出も外界の刺激という意味ではよいでしょう。が、やはりのんびりと地域を歩き、お知り合いのかたと出会って一言二言話したり、お店の果物を眺めたり、花壇の花が芽を出しつぼみを持ち花が咲くことを見守ったりすることが、心を健康に保つためにも必要だと思うのです。 車椅子の姿や歩きがおぼつかないことを人に見られたくないと思う方も多いでしょう。でも、それは誰もの将来に待っている姿です。恥ずかしいことだと思わないで下さい。お手本をしめしているのだと自信を持っていただきたいです。 ご家族が毎日のんびり散歩にお付き合いなさる時間など無いことは良く分かっています。そして「散歩の大切さ」というものは意外と分かりづらいと思います。でもどうかこのひだまり日記を機会にお考え下さい。無理の無い方法で週に一回でもゆっくり散歩する時間を作って差し上げてください。お散歩をお手伝いするボランティアさんも居られると思います。その方法などひだまりもご相談にのれるかと思います。健康なものにとってどうということでは無いことが、お年寄りやハンディをもたれる方には大変で大切なことなのだとご理解ください。この春、散歩の道すがらたくさんの笑顔に出会えることを楽しみにしております。 (ひだまり日記 2004年2月号掲載分)
by hidamari-blog
| 2004-02-28 14:38
| 高齢者
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